明けましておめでとうございます

自立ってなんだろう?

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 2022年が始まりました。みなさま明けましておめでとうございます。

 さてえがおは年末年始のお休みをいただいていますが、その間も食品支援を求めるメールは届きます。
今年は住むところのない方からのSOSを受け取っており、休みあいだでも対応しようと連絡を取ろうとしているのですが、いまだに繋がらない状況です。
 
 皆さまから食品を寄贈していただいたり、いろいろなプロジェクトを実施したり、それらの内容を載せるのに精いっぱいのこのHPですが、お正月で活動がお休みなこの時期を使わせていただいて、ホームレス状態から生活保護を受けるに至った方のブログをご紹介したいと思います。
 日々の活動のなかで出会う方々も、大変な状況にあっても「生活保護は受けたくない」とおっしゃる方が少なくありません。「政府のお世話になりたくない」「生活保護は恥だ」「税金で暮らすのは肩身が狭い」などなどいろいろなお気持ちを持っていらっしゃることでしょう。

 ここに、うつ病、家庭内暴力で路上に放り出され、その後生活保護を受けるに至った野神健次郎さんのブログをご紹介します。(以下原文ママ ご本人の許可をいただいています)
 「生活保護の利用は自立そのものです」

 わたしも当初、生活保護の利用を拒んでいました。人の世話になったらイカン、自分ひとりの糊口もしのげないのはみっともなくてイカン、自立していないのはイカン、とイカンイカンずくめでした。

 ですからホームレス施設の職員に生活保護を勧められたとき、はっきりと断りました。すると彼は云ったのです。
「生活保護を受けることは自立そのものなのですよ」
 そのときは意味がわからず、もう少しがんばろうと思っただけでした。

 わたしはうつ病で職を失い、実家に戻って療養中に家庭内暴力で家を追われ、文字どおり着の身着のままで路上に放り出されてホームレスになりました。世間知らずですが、それまで福祉は関心の埒外(らちがい)で、生活保護など思いつきもしません。そもそも福祉事務所の存在すら頭に浮かばなかったのです。

 不安障害を発症し、まるまる7年、うつろに路上をさまよう毎日でした。テントや寝具を持たない完全移動型ですから、それゆえ支援の届かぬ場所でひとり、のたうっていました。路上の生活は経験したことのない想像を絶する厳しさで、深夜、道の真ん中で叫び出すなど、正気ではいられなかったこともあります。後半はいくらか落ち着き、廉価(れんか)なネットカフェと路上とを行き来していましたが、病が進んで身動きの取れない状態でした。

 もうこれ以上は無理だと生きることを諦めかけた7年目の終わり、福祉事務所に同行してくれる方が現れ、ホームレス施設に送られたのです。福祉事務所では、精神疾患のために恐怖で身体中がガタガタと震えてしまうのを面接官に見とがめられて、アルコール依存症を疑われたりもしました。生活保護の話は一切出ませんでしたし、わたしはただ云われるとおりにするのが精一杯。

 施設で身体を休めながら病気の治療をしつつ、就職活動をしているうち、滞在期限が切れました。延長、です。さらに就活、そして延長。さらに就活、また延長、ということがつづいたころ、職員から生活保護の話が出たのでした。

 わたしが断ると、彼は云いました。
「生活保護を受けることは自立そのものなのですよ」

 わたしは意味を理解しかねて、しかしことばが頭にこびりついてしまい、ひどく気になったまま日々を過ごしていました。
「生活保護を受けることは自立そのものなのですよ」
 ――自立ってなんだろう?
 そうして調べ出し、ようやく納得がいったのです。

 大むかし、自立とは「人に頼らずひとりでガンバる」ことだと思われていました。わたしもそう信じ切っていました。けれど、現代では、自己選択と自己決定による人格的自立を指します。人に頼らない旧来の「自助」ではなく、必要なサービス、必要な人の手を借りて、主体的に生活するのです。

 できないことは人に手伝ってもらい、動ける範囲、活動範囲を広げ、自己決定できる機会を増やしてゆく。人の指図ではなく、自分の決定で行動する。出来合いの物を与えられるのではなく、お金をどう使うかを自分が決める。ですから現代では、生活保護制度の利用がイコール自立となるのですね。制度からの脱却を「完全自立」などと呼ぶおかしな声も聞きますが、自立に完全も不完全も、もちろんヘチマもありません。

 これらの考えは驚きを超え、衝撃ですらありました。パラダイムシフト、というヤツです。頭をぶん殴られた思いでした。考え方がまったく変わったのです。そして、わたしはみずから職員のところに出向き、生活保護の利用意思を伝えたのでした。

 自立を目指すなどと称して生活保護への締めつけがますます厳しくなる中で、しかし制度の利用者は、実際にはみな自立した人たちです。こうした「すでに自立している人たち」は云うに及ばず、自立のためにこれから制度を使おうとする人たちからその機会を奪う政府の方針は、まったく理に反しています。景気が悪いのでしょうか? だったらなおさら福祉が必要ではありませんか。

 何度でも云います、生活保護の利用は自立そのものなのだと。福祉におけるこの考え方が、一刻も早く社会に根づくことを願ってやみません。


「わたしたちはすでに自立しています」⇐こちらのブログもどうぞ

学生向け食料配布のご案内

byみんせい八王子@minseihachiouji

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  ここ八王子には、たくさんの大学・専門学校があります。
このコロナ禍で、学生のみなさんも経済的に大きな影響を受けています。
アルバイト先が休業したり、シフトが減ったり、親元からの仕送りが減るなど、生活が大変になっている方も多いことと思います。
 このような学生の状況を受けて、各地で学生向けの支援活動もおこなわれています。
6月6日(日)に、みんせい八王子主催の学生向け食料支援があります。

 【第5回 学生応援フードバンク】
 【日時】6月6日(日) 1回目/10:30~12:30 2回目/14:30~16:30
 【場所】都立大学南門前舞の橋歩道橋下
        都立大学最寄り駅は、京王相模原線南大沢駅となります 。


都立大および近隣の学生の方で、お困りの方は6月6日(日)に
都立大学南門前舞の橋歩道橋下へ

Twitterのアカウント @minseihachiouji や LINE をフォローして、今後の情報もお見逃しなく!!!
ボランティアも大募集中とのことです。

2020年度をふりかえって

ほんとうにありがとうございました!!!

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4月1日になりました。
昨日3月31日、えがおも2020年度最後の日でした。
2020年度はコロナ感染拡大と拡大防止策で、人々の暮らしが大きく変化しました。わたしたちも、2019年度とはまったく異なる事態に右往左往、毎日届くSOSに応えられるだけの食料がありませんでした。それこそ緊急事態でした。

市民のみなさまに食品寄贈を呼びかけるフードドライブの実施も困難な状況になりましたが、事務所に食品を持ってきてくださる方、毎月宅配で送ってくださる方、企業・団体の
みなさまからの大量のご寄付、フードドライブやえがおボックスでのご協力、そしてインターネットを通じて北は北海道から南は九州まで、直接お会いしたことのないたくさんの方々から、ほんとうに多くの食品を寄贈していただきました。
 こころより感謝申し上げます。

 この1年間に扱った食品の入出庫量や支援状況を数字とグラフでまとめました。下の画像をクリックすると全内容がご覧になれます。食品の扱い量は、2019年度と比べて約2.3倍、支援世帯数は約3.5倍、支援回数は約2.5倍となっています。この資料は、「えがお通信&資料」の項に置いています。

 

 2021年度がスタートしましたが、新型コロナウイルス感染がおさまったわけではありません。まだしばらくは、この困難が続くものと思われます。経済的に困っておられる方々を、食の面から少しでも支援できるよう、活動を続けてまいります。今後とも変わらぬご支援ご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。

2/26(金),27(土)
『八王子コロナ困りごと相談会』あります!

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仕事・生活・住まいなど、このコロナ禍でお困りの方々に
八王子駅・京王八王子駅近くの船森公園とアミダステーションで相談会が開催されます。会場には弁護士さんがいます。ひとりで悩まずどうぞご相談ください。
26日、27日の2日間、お電話・メールでも相談を受け付けます。
相談にお越しいただいた方で、食料にお困りの方には食品の配布もあります。
八王子にお住まいでなくてもかまいません。どうぞ会場におこしください。

お近くにお困りの方がありましたら、どうぞこの情報をお知らせください。
チラシのダウンロードは⇒ チラシPDF

※この相談会に先立ち、2月19日(金)10時~16時にアミダステーションにて、フードドライブを実施します。常温保存可能で賞味期限1ケ月以上あり、未開封の食品がありましたら、ご協力よろしくお願いします。
 またカンパも募集しています。カンパ先はチラシでご確認を!!!

1/27(日)学習会のご案内

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 直近になりましたが、コープみらい地域クラブ「えがおのおすそわけ」主催の学習会のお知らせです。
 「えがおのおすそわけ」は、コープみらいの店舗でフードドライブを開催し、集まった食品をえがおに寄贈してくださっている協力団体です。

 日頃フードドライブに協力してくださっている方から
「統計によると、日本の子どもの貧困率は13.9%で、7人に1人の子どもが貧困状態だそうですが、本当にそんなに困っているの?見えてこない。実態を知りたい」と言われます。そこで八王子市内の貧困の実態や、支援活動の実際について、一緒に学びあう機会を設けることにしました。
 予約不要、入場無料です。当日直接会場にお越しください。
お待ちしています。

 

 

 

NHKスペシャル「見えない貧困」

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昨夜NHK総合TVで午後9:00からNHKスペシャル「見えない貧困」 の放送がありました。

ご覧になった方も多いかと思います。大阪や東京の自治体で行われた大規模調査の結果をもとに現代の「相対的貧困」の実態をルポしたものです。特に子どもへの取材・インタビューを丹念に行い、子どもたちが貧困によって剥奪されているものを示す「剥奪指数」という指数の観点は、新しい切り口で、とてもわかりやすいものでした。「家族旅行に行ったことがない」「誕生日やクリスマスを祝えない」「新しい服を買えない」「修学旅行や学校行事に参加できない」「海水浴に行ったことがない」「スポーツクラブや習い事に行けない」「塾に通えない」「本を買ってもらったことがない」などなど、子どもらしい体験が奪われていること、それらの合計数で「剥奪指数」というものを提示していました。
高校生のアルバイトが、子どもたちの遊びや習い事などのためでなく、家計の補填になっており、子どもが家計の支え手になっている現状では、大学進学がとても困難になっている子どもたちがますます増えていくでしょう。
番組の中で大田区の石川副参事の言葉「もはや自助努力の限界」にふかく同意します。地域社会の助け合いももちろん必要ですが、それ以上に国の大胆な施策が必要とされています。この見えない貧困をこのまま放置することによる社会的損失は42兆円以上と計算していましたが、この状態がずっと継続して行けば、その程度の損失ではとてもすまないことになるでしょう。
髙橋みなみさんの、制服が買えなくてリサイクルやで、サイズが合わない制服を購入したこと、ネームの刺繡が別人の苗字なので、それを見られないように気を付けていたこと、早くお金を稼ぎたいと思っていたことなど、経験者の本音の言葉も胸を打ちます。

再放送は 2月15日(水) 0:40~1:29 (14日深夜)です。ぜひご覧になってください。